南開建設では、3次元設計データを全て自社で作成しています。3次元設計データとは、平面の図案と3D測量データをもとに作成された、立体的な設計図のことです。これにより、作業計画の検討や進捗状況の把握にかかる労力が大きく削減されました。従来の施工では、「やってみないと分からない」部分が多かったため着工前に詳しい作業計画を立てることが難しく、途中で計画を見直したり、図面を引き直したりすることが当たり前でした。無駄な作業コストが、大量にかかっていたのです。
設計書が3D化されたことで着工前の計画検討の正確さが強化され、見直しが必要な場合にも立体的な図面データを使えばスムーズに進行できるようになりました。
ICT土木の可能性
土木業界では今、生産性の向上、熟練者不足への対応、工事現場の安全性向上という改善が求められています。その一環として、国土交通省は2016年頃から「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という取り組みを推進しています。これは、土木工事へのICTの活用を推し進め、土木分野の生産性を高めていこうというものです。
南開建設はその取り組みに積極的に参画し、未来の土木業界を良い方向へ導いていきたいと考えています。
ICT-Surveying
3次元起工測量
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Conventional Survey
従来の測量
2days
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Drone Survey
ドローン測量
20min.
Conventional Survey
Drone Survey
測量はすべて自動、
所要時間は30分
今までの測量作業では、時間と労力がかかるだけでなく、測量のために現場の作業がストップしてしまうという大きな問題がありました。ドローンを用いた3次元起工測量では、人間はボタンを押すだけ。ドローンが自動で作業してくれて、しかもそのスピードは、人間の手では3日かかっていた作業が30分で完了するほどです。
ドローンを活用し、施工を効率化
ドローンを用いた3次元起工測量は、別名、空中写真測量ともいいます。これは、土地を空中から複数パターン撮影し、それらを解析・合成することで、施工現場の3次元モデルを作成する測量技術です。
この技術によって、たとえば「必要な土の量」を正確に把握できるようになりました。従来の測量では大まかな土量しか算出できなかったためいつも少し多めの土を現場へ運搬していましたが、ドローンの導入により、必要最低限の土だけ運べば済むようになったのです。
また、施工中にも作業をストップさせずに測量することが可能になったため、こまめに測量を行って工事の進捗状況をより正確に管理することが可能になりました。このようにドローンを普段使いしていくことで、施工作業はますます効率化されていきます。
ドローン測量の精度
ドローン測量には、「電子基準点」というものが活用されます。これは、宇宙を飛ぶ衛星と通信をして位置情報を受信するスポットで、全国に約1300箇所設置されています。
電子基準点とドローンにはそれぞれ高精度のGPSが搭載されており、ドローンは飛行しながら複数の電子基準点の位置を把握し、自身の位置をほぼ正確に算出することができます。
3D Scanner Data
3次元設計データ作成
実は、平面図よりも初心者向き
従来使われていたCADソフト(コンピューターで平面の設計図を作成するソフト)は、初心者が使いこなすにはハードルの高いものでした。3次元設計データの作成は、一見難しそうですが、実際には地形や完成図がリアルな姿で表示されるので平面のデータよりも視覚的に理解しやすいことが特徴です。そのおかげで、初心者でも習得がしやすく、発注者とのイメージ共有もスムーズになりました。
ICT Construction equipment
ICT建機による施工
ICT建機で経験値に頼らない簡単施工
ICT建設機械とは、マシンコントロール/マシンガイダンス・システムを搭載した建設機械です。マシンコントロールは建設機械に3次元設計データを取り込んでその動きを自動制御する仕組み、マシンガイダンスは操縦席にいるオペレーターに機械の操作をガイドする仕組みです。
オペレーターは前後の安全を確かめながらガイダンスに従って機械を操作するだけでよく、誰でもベテラン級の施工をスピーディーに行うことが可能になります。南開建設では、バックホウ、モーターグレーダー、ブルドーザーの3種類を保有しており、沖縄県随一のラインナップを誇っています。
Backhoe
バックホウ
バックホウとは、ショベルがオペレーター側の方向についたショベルカーです。オペレーターは自分の方向に引き寄せるようにして土などを掬い上げます。ICT建機のバックホウの特徴は、手元のスティックを操作するだけであとは機械が自動でアームの角度やショベルの向きを調整して動いてくれること。初心者でも簡単に、ベテランのような作業が可能になります。
Motor grader
グレーダー
グレーダーとは、地面を平らに整えるために使われる重機で、本来、それを使いこなすには熟練した技術が求められるものでした。しかし、ICTに対応したグレーダーでは、そうした技術を持ち合わせていなくても簡単に使うことができます。道路工事以外にも活用することができ、あらゆるシーンでの効率化に役立っています。
Bulldozer
ブルドーザー
ブルドーザーは、土を盛ったり、土地を整えたりするための重機です。ICTに対応したブルドーザーは、電子基準点(衛星からの情報をもとに位置情報を計測するスポット)からの情報をもとに「どこにどれくらい土を盛ったら良いか」などを計測する機能を備えており、このおかげでベテランでも3日かかる作業を、経験値の浅いオペレーターが1日で終わらせることが可能になりました。
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Conventional Construction
従来の施工
2days
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ICT Construction
ICT施工
8hours
Conventional Survey
ICT construction
3D Production management
3次元出来高管理
ここまでにご説明した3次元測量データと3次元設計データを組み合わせて出来高を管理することを3次元出来高管理と呼びます。立体的なあらゆるデータを用いて図式化することで、工事の進捗状況や施工スケジュールを正確に把握・管理することが可能になります。
図面や写真、人間の目などでは確認しづらい部分も立体的なデータで見ることで把握がしやすくなり、現場スタッフやクライアントなどあらゆる立場の人とも簡単かつ正確に情報共有ができるようになりました。
現場を見るより分かりやすい
施工したものを納品する際には、工事検査官という第三者機関に工事の品質や完成度の点検をしてもらう必要があります。本来は現場で検査官が目視で確認していく作業ですが、あるとき、事務所の会議室で現場の3次元データを見た検査官が「現場を見なくてもいいくらいですね。軽く一周見て完了とします」と言いました。現場で直接見るよりも全体の把握がしやすく、モニターで拡大すれば細かい箇所まで確認できるため、正確かつ信頼できるデータとして重宝しています。
Electronic delivery
電子納品
従来はすべて紙で提出をしていた納品書も、ICTを導入した現場ではすべて電子データで作成されます。施工の際に参考とした電子基準点の情報や、測量データなどの書類に加え、ドローンで撮影した写真データなど様々な資料が電子データで納品されます。施工段階で使用していたデータをそのまま資料に転用できるため、納品のための資料作成にかかる時間が大幅に削減されました。