Story 02
ドローンや電子基準点の活用
電子基準点を自社で設置
私たちは、宮古島で初めて土木業界にドローンを持ち込みました。今ではドローンによる空中撮影や測量などを行っていますが、その環境が整うまでにはあらゆる準備が必要でした。
ドローン導入の当初の目的は、発注者への進捗報告をよりスムーズに、分かりやすくすることでした。従来は地上のあらゆる方向から現場を写真撮影し、それを発注者に提出していましたが、その写真をドローンで上空から撮影することで作業の手間を簡略化し、写真ももっと全体を把握しやすいものにできると考えたのです。当初はモニターでドローンの位置を確認しながら撮影をしており、それでも従来と比べたら便利にはなりましたが、まだ人の手はかかる作業でした。
それが格段に便利になったのは「電子基準点」を導入したことがきっかけです。
電子基準点とは、一言でいうと、位置情報を受信するGPSスポットです。地上に塔のような形で建っているもので、宮古島にも当時すでに設備はありました。ICT建機を使うためにはその電子基準点と通信をさせる必要があるので導入が必要だったのですが、そこで大きな問題にぶつかりました。既存の電子基準点を使うためには、建機1台あたり年間数十万円を支払って契約する必要があったのです。
今後ICT化を進めていく上で、お金をかけずにもっと自由に電子基準点やそのデータを使えるようにできないかと考えた結果、自社で宮古島全域に電子基準点を設置してしまおうという判断に至りました。
電子基準点の導入で、ドローンが大活躍
電子基準点は、建機だけではなくドローンとも通信ができます。電子基準点が自由に使えるようになったことで、位置情報をもとにした空中撮影や、ドローンを用いた測量が可能になりました。
特に測量は、ドローンの導入によって大きく変化しました。従来の測量作業は全て人間の手で行われていたため、たくさんの時間がかかるうえ、測量をするために現場の施工作業を一時中断する必要があり工期にも影響してしまうという問題がありました。
それが、ドローンを導入したことで、ボタンをひとつ押せば自動で測量を終えられるようになりました。時間にすると今まで3日かかっていた作業はわずか30分で終わるようになり、非常に効率化されたのです。電子基準点とドローンの活用するにより、測量は従来の作業とは全く別物に生まれ変わりました。
ドローン測量で改善されたのは、時間や品質だけではありません。施工をする際には大量の土を運ぶ必要がありますが、この土の量をめぐっても大きなメリットがあります。従来は大まかな見積もりしかできなかったので、いつも見積もりよりも少し多い量の土を運搬し、現場にストックしておくことが通例でした。それが、ドローンを用いた測量では細かい数値まできっちり測ることができるので、必要最低限の量だけの土を運べば済むようになったのです。
また、ドローンと電子基準点を活用した測量技術は農業支援にも役立ちます。詳しくは、次の「農業への応用」でご説明します。